泣きゲー(なきげー)とは、ギャルゲーやアダルトゲーム(恋愛ゲーム)・美少女ゲームにおいて、「プレイすることで感動を呼び起こされ、泣けるゲーム」を指す俗語。転じて、そういったゲームの内容の属性(特徴)を示す語やゲームのカテゴリ(範疇)またはジャンル(種類)の一つとしても使用されている。感動に特化したシナリオでなくとも、たとえば性的描写よりもむしろシナリオ性などに重点が置かれたギャルゲー・美少女ゲームのことを総じて「泣きゲー」と拡大解釈して称されることも増加している。
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泣きゲーとは、ギャルゲーやアダルトゲーム(恋愛ゲーム)・美少女ゲームにおいて、「感動を呼び起こされ、泣けるゲーム」のこと指し、ゲーム市場のうち人気を博しているジャンルの一つである。ただし、ゲームメーカー(制作者)が行っている正式なカテゴリ(範疇)またはジャンル(種類)としての区分ではなく、何によってどのように「泣ける」かは実際にゲームをプレイしたユーザー(プレイヤー)自身にしか認識できない(感じ取れない)ため、作品に対するユーザーの感想を端的に言い表したもので、ゲームの特徴を表現した俗語に過ぎない側面もある。
ゲームをプレイした大多数の人から「泣ける」と賛同されるために、客観的な評価として「泣きゲー」という用語が用いられることもあれば、少数な意見であってもそのユーザーの感覚・価値観に依って、主観的な意見として「泣きゲー」という用語が用いられることもある。したがって、個々の作品が泣きゲーか否かに関しては意見が分かれる場合があり、厳密なカテゴリやジャンルとして各作品を明確に区分することは難しいこともある。また、最近では、感動に特化した作品でなくとも、ストーリ性が重視されていたりシナリオが熟考されていたりする恋愛ゲームに、性的描写を重視したゲームに相対する呼称として、「泣きゲー」という分類が用いられることも多くなっている。
アダルトゲームのなかで泣きゲーと呼ばれる作品の特徴として抜きゲーとの対比から性的描写が低調であることがあげられるが、CD・DVDによる大容量化にともない高画質化やボイス付きなど演出面が進歩したこともあり、性的描写についても以前のゲームより充実しているものもある。ただしその場合でもゲーム全体からいえば大きな部分を占めてはいない。
「泣きゲー」という言葉は美少女ゲームに感動系のものが急増した1990年代終わりから2000年代初めに使われるようになったため、それ以前のゲームは内容にかかわらず泣きゲーとは呼ばないことが多い。
ジャンルとしての歴史
長い間、アダルトビデオと同列の商品であるアダルトゲームでは性的快楽の描写が好まれ、ストーリー性を重視した作品は限られていた。しかし、1996年から発売されたLeaf制作の「リーフビジュアルノベルシリーズ (LVNS) 」以降、ビジュアルノベル形式のゲームが広まり、よりストーリー性を重視した作品が制作されるようになった。
その流れを受け、今度は感動させることを主目的としたゲームが広まることとなる。その奔りは、1998年にTacticsから出された『ONE 〜輝く季節へ〜』で、「心に届くADV」として制作された作品で、本田透らはこの作品を「泣きゲー」の元祖的作品であると主張している[1]。その難解とも言われるストーリー性ゆえ『ONE 〜輝く季節へ〜』の販売本数は振るわなかったが、その当時のインターネットや口コミ等でじわじわと話題となり[2]、各種アダルトゲーム雑誌でも大きく取り上げられ、新しいジャンルの存在を世間に知らしめた。
そして、『ONE 〜輝く季節へ〜』の製作チームの一部が Tactics から移籍して立ち上げた ゲームブランド・Key [3]より1999年に発売された『Kanon』は大ヒット作品となり、10万本以上の売り上げを誇ってプレーヤーの支持を得たのに加えて、マスメディアにも取り上げられた[4]。これによって感動させるストーリーに重きを置いた作品が、一つのゲームジャンルとして広く認知されるようになり、「泣きゲー」という言葉が普及し始めた。
これらのゲームの特徴として、シナリオの完成度の高さもさることながら、感動すべき場面でその効果を増強するために挿入されるゲームミュージックやボーカル曲も無視できない。泣きゲーの発展に伴って、それまでは単調だったゲームミュージックやボーカルもより重視されるようになり、完成度の高いものになってきている。例えば、『Kanon』の主題歌を担当したI'veはゲーム音楽専門の集団として人気を博し、その後の同様の専門家集団やゲーム専門音楽クリエイターの発展を促した。
プレイヤーの「感動」を呼び起こすことを目的とした泣きゲーのシナリオにおいて、性的な描写は必ずしも必要ではなく、むしろ付加的な扱いになり、性的な描写を潔しとしない、と考えるユーザーも増加した。この流れを受けて、Keyから2004年に発売の『CLANNAD』(後にPS2版も発売)や、2007年に同じくKeyから発売された『リトルバスターズ!』が発売当初からコンピュータソフトウェア倫理機構の一般ソフト作品とするレーティングで発売されるに至った。この経過は、泣きゲーとしての当然の帰結であった。
一方で、性的描写にのみ重点の置かれた従来のアダルトゲームとは異なるが、それほどの感動を呼び起こすことの無い、いわゆる誤用法の「泣きゲー」においては、逆に性的描写においても充実が図られるようになった。これらのゲームでは、ストーリー性にも若干の重点が置かれているが、感動できるとは言いがたく、これらのゲームの魅力を維持するためにはやはり、性的描写に頼らざるを得ないことによる。
他の属性との重複
泣きゲーとして認知されている作品の中には、他の属性(特徴)を持つもの(例えば鬱ゲー)としても挙げられているものがある。複数のキャラクターのストーリーがひとつの作品の中で扱われているため、一人のキャラクターに焦点を合わせた時、そのキャラクターは幸福な結末を迎えるが別のキャラクターに救済が齎されず悲劇的な結末を迎える事があり、この場合たとえば「鬱ゲー」という属性が付加される。また、主人公や周囲の人物があるストーリーで問題解決のために超人的な活躍をする事もあり、この場合「燃えゲー」という属性が付加される事になる。
こういった状況は、「泣きゲー」が登場キャラクターの悲劇的な状況を打破することでカタルシスを得ることが多いため起こる作劇上の特徴であり、鬱ゲー#他の属性との重複も一読されたい。