農業用水は水の需要のもっとも大きな部分を占める。日照りや旱魃の影響を最小限に抑える農法として古くから行われている灌漑農業は、安定した水の供給なしでは成り立たないため、河川や湖沼、地下水などを水資源として開発することが進められてきた。しかし、これらの水源からの限度を超えた取水により、世界各地で農業用水や生活用水などが不足する地域が増加している。
紀元前6世紀頃のエジプトやメソポタミアで始まった灌漑農業は、その水源を河川に求めていた。以来、河川は農業用水の安定した供給源であり続けたが、ダムの建設技術の発達などによって大規模な開発が可能になると、河川が持続的に供給できる水量を超えた取水が行われるようになった。
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中国の黄河では、1990年代から毎年のように、一時的に下流が干上がっており、1997年には河口から600kmに及ぶ断流が起きた日が262日に達した。上流から中流での、河川の水量の90%という過剰取水が原因と考えられている[7](なお取水制限などにより、1999年以降断流は発生していない)。ソビエト連邦が主導した「自然改造計画」は、アラル海に注ぐアムダリヤ川とシルダリヤ川からの取水を前提とするものであった。かつて世界で4番目に広い湖だったアラル海は、流入する水量が減少したことによって縮小していき、2004年には表面積が1960年当時の1/4にまで減少した。アラル海はかつては豊富な漁獲量を誇り、周辺地域も含めて多様な生物が生息していたが、現在では塩類の濃度上昇により生物が激減した。